相模原市の市立中学校いじめ事件。

学校の対応に問題があったことは明らかだろう。

この相模原の市立中学校は今年度だけで教師への暴力が2件、窓ガラス破損など器物損壊が16件、火災報知器の発報が23件あるという。
いわゆる「荒れた学校」でのいじめ事件だろう。

かといって、いじめが許されるわけでは無い。

いじめ被害者のお母さんが「大津のいじめ自殺事件と同じだ」と話すのも分かる。

被害生徒は1年の時、教室でアンケート用紙が配られた際、周囲の生徒が別の生徒を見て「何か書いてるぞ」と話しているのを聞き、その後もいじめについて書けなかったと答えたという。
こんなの当たり前であり、この配慮が重要では。

学校はもっと真摯に、いじめ対策へ取り組むべき。





相模原・中3いじめ:学校の対応に問題 市教委が調査報告 /神奈川

 相模原市中央区の市立中学校で3年男子生徒がいじめを受け同級生3人が傷害容疑などで逮捕された事件で、市教委は14日、学校の対応に問題があったとする調査結果を公表した。同日、報告を受けた市議会文教委員会では、学校側の隠蔽(いんぺい)を疑う声が上がった。

 ◇市議から隠蔽疑う声 聞き取りに被害生徒「1年時から受けてた」

 市教委は学校に職員会議録や担任の指導記録を提出させ、被害生徒と保護者、校長、生徒指導主任、担任らに聞き取り調査した。

 調査報告書によると、被害生徒は「1年の時からいじめを受けた」と話していた。学校側は毎年、生徒にいじめの有無を調べるアンケートを実施していたが、記名式だったこともあって被害生徒は記入しなかった。

 学校側は、被害生徒の1年時の被害を殴り合いのけんかと判断し、特別な保護が必要とは認識しなかった。被害生徒は2年時にも数回、複数の生徒から暴力を受けたが、教諭の声かけにも「平気です」と答えたため、学校側は保護する積極的な対応を取らず、暴力を振るった生徒への対応が中心だった。

 3年時の昨年9月7日、被害生徒は校内で男子同級生に腹を蹴られ、10月11日に別の男子に暴行された。同17日には更に別の男子に顔を膝蹴りされ鼻の骨を折る大けがをした。加害生徒3人は12月にそれぞれ逮捕され、保護観察処分を受けた。

 学校側は9月の暴行時、被害生徒の保護者に警察への被害届提出を促す一方、けがが重くなかったため重要な事案と捉えず、校長は市教委に事故報告をしなかった。市教委は、この際の校長の判断は誤りだったとしている。

 同校では今年度、教師への暴力が2件、窓ガラス破損など器物損壊が16件、火災報知器の発報が23件あったことも明らかになった。

 市議会委員会では、委員から「9月の時点で事故報告が提出されていれば10月の2件は防げたのでは」「被害届を促しながら事故報告しなかったのは隠蔽では」と学校側の対応に疑問が出された。市教委は「意図的な隠蔽はなかった」と釈明した。

 ◇いじめ根絶へ、市教委が対応策

 事件を受け市教委は14日、いじめ根絶に向けた小中学校の現場や市教委の対応策を発表した。児童・生徒が教室で周囲に気兼ねせず記入できる「いじめアンケート調査」の方法検討や、教職員の意識向上を図るため、いじめ対応マニュアルの改訂などを示した。

 対応策は今回の事件について、いじめが続いたのに被害生徒は学校に相談できず、学校側も教師への暴行や器物損壊に追われて被害生徒の保護が十分でなく、市教委も学校への支援体制が不十分だったとの見解を示した。

 その上で学校側は子どもの悩みを十分に把握すべきだと指摘。暴行など重要な事故が発生した場合に校長が市教委に出す事故報告書の提出基準を明確にするほか、各学校は生徒指導会議で教職員がいじめ問題への組織的・継続的な対応を検討することとした。

 一方、学校を支援する組織として、市教委学校教育課に指導主事や学校・警察OBら12人で構成する「人権・児童生徒指導班」を新設。学校巡回による状況把握や深刻な事案への早急な対応、関係機関との連携強化を図る。5月と11月をいじめ防止月間とし、いじめ防止フォーラムを開いて学校と地域住民、警察など関係機関の意思疎通を進めるという。

毎日新聞 2013年02月15日 地方版



いじめ、アンケートで把握できず 相模原市教委調査結果

相模原市の市立中学校の男子生徒(15)がいじめを受けてけがをした事件で、相模原市教委は14日、事前にいじめを把握できなかった原因などについて調査結果を公表した。いじめに関する生徒へのアンケートが機能していなかったことなどを課題として挙げ、「今後、改善していく」としている。

 市教委は、学校がいじめに関するアンケートを毎年実施しながら、被害生徒が「いじめられた」と回答しなかった点を重視。被害生徒は1年の時、教室でアンケート用紙が配られた際、周囲の生徒が別の生徒を見て「何か書いてるぞ」と話しているのを聞き、その後もいじめについて書けなかったと答えたという。今後は、用紙を自宅に持ち帰って記入するなどの方法に変えるという。

 また、昨年9月に男子生徒が腹を蹴られた際、学校側が保護者に警察へ被害届を出すよう促しながら、市教委への事故報告がなかった点にも言及。報告書の提出基準が不明確で、校長の裁量に任されていたことも問題とした。今月中にも基準を明確化するという。

 被害生徒の母親は、市教委の調査結果について「2年生の時から学校側にいじめを相談していたが、学校全体で情報が共有されていなかったことがわかった。大津のいじめ自殺事件と同じだ」と話す。

 調査結果には学級担任による指導記録をもとに、1年時からの被害生徒をめぐる「暴力を受けた」事例や「けんか」「からかい」などの事例計16件が記載されている。しかし、母親は「こちらが『いじめ』と思う事例が『けんか』に分類されるなど、学校側の視点が目立つ部分もある」と指摘する。

 この生徒へのいじめ事件では、同学年の男子生徒3人が傷害や暴行などの疑いで逮捕された後、保護観察処分となっている。

2013年02月15日10時05分 朝日新聞



相模原いじめ 学校に不適切対応 市教委報告 隠蔽は再度否定

 相模原市中央区の市立中学校で三年の男子生徒(15)がいじめを受け、同級生三人が逮捕された事件で、市教育委員会は十四日、教諭間の情報共有不足や学校が市教委に報告しなかったことなど、不適切な対応があったとする調査結果を市議会文教委員会で報告した。しかし、学校側がいじめを隠していたことについてはあらためて否定した。

 調査結果によると、この中学校では生徒による教諭への暴力や器物損壊などが頻発。被害生徒は入学直後から、同級生による暴力やからかいを受けていたが、担任教諭らはいじめとは認識しなかったという。

 学校側は昨年九月、生徒が腹部を蹴られた際に警察へ届けるよう保護者へ促したが、市教委へは事故報告書を提出しなかった。保護者は生徒が十月に鼻の骨が折れる暴行を受けた後、十二月に相模原署に被害届を出した。

 中学校が市教委に報告しなかったことについて、市議から「隠蔽(いんぺい)ではないか」と指摘があったが、市教委側は「さまざまな問題があり、学校が正常な状態でなかったと思う。隠す意図はなかったと聞いている」と弁明。昨年四月以降、校内では生徒による教諭への暴行が二件、器物損壊が十六件あったという。

2013年2月15日東京新聞



学校内のいじめや暴行深刻化 学校警察連携で改善のケースも

 学校内のいじめや暴行が深刻な社会問題となる中、相模原市中区の市立中学校でも昨年12月、男子生徒(15)に暴行を加えたとして、同級生の少年3人が逮捕された。その後の市教育委員会などの調査で男子生徒は入学直後からいじめを受けていたことが判明、市教委が謝罪する事態に発展した。一方、学校と警察が手を組んで対策を講じ、校内暴力が減少するなど、学校警察連携制度が功を奏するケースも増えてきた。

 ■生徒のトラブルと認識

 「お前の死刑は確定した」。傷害容疑で相模原署に逮捕された少年(15)は男子生徒にこう話しかけながら顔を膝蹴りし、鼻骨骨折の重傷を負わせた。その後、男子生徒が入学直後からいじめを受けていたことが発覚。同署は同じ男子生徒への暴行容疑で別の少年2人も立て続けに逮捕し、3人は横浜家裁相模原支部から保護観察処分を受けた。

 市教委はすぐに調査に乗り出し、1年次から継続的ないじめがあったことを認めて謝罪。2年次には担任教諭がいじめを疑ったが、学校は生徒同士のトラブルと認識し、市教委に報告書を提出するなどの措置はとっていなかった。

 ■相談の増加で件数減

 学校単独では手に負えないケースに対処するため、警察との連携が加速している。学校警察連携制度と呼ばれるもので、学校で対応しきれない問題を警察に相談し、警察は子供を逮捕した際などに市教委に情報提供。学校から相談を受けると警察官を派遣し、加害生徒に「罪に問われる可能性もある」と指導する。

 神奈川県内では県教委と私立中学高等学校協会、18の市町村教委が警察と協定を締結。中でも県内で一番初めにこの制度を取り入れた横浜市では、その効果がはっきりと数字に表れてきた。

 平成17年の学校からの相談はわずか4件だったが、21年には校内暴力やいじめなどの相談が124件まで増加。それに伴い、横浜市立中学の校内暴力の件数は20年度の2574件をピークに減り続け、23年度は1967件まで減少した。

 横浜市教委の酒井徹人権教育・児童生徒課長は「第三者である警察官が加害生徒と話し合うことで緊迫感や緊張感があり、子供も問題を自覚する」とその効果を評価する。

 こうした制度に対して、「教育のことは学校ですべき」「子供を警察に売るようなものだ」などと一部には反対意見も根強くある。しかし、酒井課長は「情報提供すれば即逮捕するということではない。子供たちを犯罪者、被害者にさせないことが一番の目的」と強調する。

 ■横浜市以外での活用期待

 事件化する前に子供が更生した例も多い。学校の防犯カメラなどを壊すことを繰り返していた男子児童の小学校では、学校の指導だけでは足りないと警察に相談。警察官が説諭し、男子児童は二度と暴力は振るわないと約束し、その後は守られているという。

 また、深夜の外出や喫煙といった不良行為を繰り返していた男子生徒がいた中学校では、犯罪行為に発展する可能性もあったため、警察官から指導してもらうよう依頼。生徒は警察官の指導も受け入れ、交友関係なども改善されていった。

 ただ、昨年の学校からの相談119件のうち、7割以上が横浜市からで、その他の自治体では制度があまり活用されていないという課題もある。横浜市の場合、校長会や教諭同士の情報交換などを通じてその効果が口コミで広まっていったといい、今後、県内全域で連携の動きが広がっていくことが期待される。



 【用語解説】学校警察連携制度

 違法行為を繰り返している子供の立ち直りや、犯罪の被害に遭う可能性のある子供を守るために、学校と警察が相互に児童・生徒の個人情報を提供する制度。それに基づき、学校、家庭、警察が一体となった指導や支援を行う。

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県警は学校との連携の一環として、非行防止を目的とした紙芝居などで子供たちに社会のルールを教えている=横浜市立川井小学校

2013.1.20 22:15 産経ニュース



相模原いじめ:「同じ目に遭わないように」被害生徒証言

相模原市中央区の市立中で3年の男子生徒(15)がいじめを受け、同級生3人が傷害容疑などで逮捕された事件で、被害生徒が毎日新聞の取材に応じ、3年間にわたる過酷ないじめについて語った。本人と母(43)は何度も学校に被害を訴えたが、抜本的な対策は取られなかった。生徒は「いじめられている子が自分と同じ目に遭わないようにしてほしい」と訴えた。

 「お前の死刑は確定した」。昨年10月17日の昼休み、生徒は学校の図書室前の廊下で男子同級生に言われ、顔を膝蹴りされた。さらに頭を抱えられ、廊下の壁に数回打ち付けられた。鼻の骨が折れ廊下に血が滴った。

 いじめは1年生の時に始まった。最初は同じクラスの男子にささいなことで言いがかりを付けられた。10年10月ごろ、サッカーの部活動中に同級生部員とトラブルになり、倒れたところを複数に囲まれ顔などを蹴られた。前歯が欠け、頭を強く打ち病院に運ばれた。

 2年でさらにエスカレートし、理由もなく殴られ蹴られた。バッグを踏まれたり教材をばらまかれたりし、靴や上履きは少なくとも5、6足無くなった。

 いじめに関わったのは同級生数人。生徒と母は1年の時から、担任教諭らに何度も被害を訴えたが、学校側は学年会で話し合うことはあっても「けんか」「トラブル」と判断して抜本的な対策は取らなかった。市教委にも報告しなかった。

 生徒は「何かが変わると期待して訴えているのに何も変わらなかった。がっかりするくらいなら、何も言わない方がましだ」と思った。諦めから11年9月ごろ以降、担任に被害を訴えるのはやめた。担任は被害が無くなったと思い込み「感情のコントロールができるようになった。成長した」と生徒を褒めた。

 事態は悪化し、3年生の昨年9月7日、同級生に腹を回し蹴りされた。10月11日、トイレで別の同級生2人に殴ったり蹴られたりした。母子が神奈川県警相模原署に被害を相談したのは同17日の暴行の3日後だった。

 学校側は9月の暴行で警察に被害届を出すよう母に勧めながら、「警察が学校に来て初めて事態の深刻さに気づいた」と主張。さらに市教委が継続的ないじめを把握したのは同級生が逮捕された12月になってからだった。

 生徒は4月からは高校生になる。「周りにも1年の時から不登校になった子がいる。自分と同じような子が、もう出ないようにしてほしい」。中学生活最後の願いとして、学校の体質改善を求めた。

 ◇相模原市の中学3年生いじめ事件とは…

 学校内で昨年9〜10月に3回、男子生徒(15)に殴る蹴るの暴行を加えたなどとして、神奈川県警相模原署が昨年12月、同級生3人を傷害や暴行の容疑でそれぞれ逮捕。横浜家裁相模原支部は3人を保護観察処分とする決定を出した。市教委は今年2月に調査結果を公表し、学校から市教委への報告基準があいまいなことや、学校全体として組織的・継続的な取り組みを十分に行っていなかったことなどを指摘した。

毎日新聞 2013年03月26日 02時30分(最終更新 03月26日 07時56分)
(2013年3月26日追記)