■大雪、大丈夫でしたか?

 こんにちは。14日は北海道から関東、甲信越にかけて東日本いったいが大雪にみまわれたね。みなさんの身のまわりでは、被害はありませんでしたか。

 ふだん雪のふらない地域では、融雪装置や除雪車もないだろうから、そうすると外に出るのもいっそうたいへんになるんじゃないかな。たとえばお年寄りやベビーカー、車いすの人などはまっさきにこまるだろうし。地震ほどではなくても、人によってはいっしゅの災害のように感じるかもしれない、こんなふうにいつもとちがったことが起こっているときには、近所の人と声をかけあうのがだいじかもしれない……。

 ボクじしんは、たとえさむくても雪はとてもきれいですきなんだけれど、ずいぶんと大雪がニュースになっているのをみて、そんなことを考えたよ。

■あの日、この冬もっとも電力需要が大きかった

 大雪の14日から15日にかけて、東京電力さん管内はこの冬で最大の電力需要を記録したの。たくさんのおうちで暖房が必要になったから、いちどに使われる電気が増えたんだね。

 ただ、14日の最大値は4644万キロワット、使用率は94%だったけれど、3%は必要だといわれる「予備率(電力供給の余裕をしめす値)」は5・7%あって、供給にはまったく問題なかったみたい。よかったね。東北電力さんのほうは使用率が88%で、もっと余裕があったようだよ。どちらの電力会社さんのエリアでも、原発はひとつも動いていないけれど、供給はちゃんとまにあったんだね。

 いっぱんてきに、必要な電力というのは、会社や工場のたくさん動いている平日のほうがより大きいんだよ。だから14日の大雪が祝日にぶつかっていたのは、都市部で帰宅困難のひとがすくなくてすんだというだけじゃなく、電力の面でもたすかっていたんじゃないのかな。

■北海道の冬、原発がないと停電する?

 去年は日本じゅうの原発のうち、関西電力さんの大飯原発くん3号機、4号機が動くのみで夏が終わったの。そして秋がはじまると「北海道では泊原発を動かさないと冬がのりきれない」「北海道の冬で停電になると人命にかかわる」というようなことが一部の報道でいわれたりもしていたのね。ボクじしんもそういうようなことをツイッターでいろんな人から質問されたよ。

 けれどいまも泊原発くんはおやすみのままで、北海道では電力が不足しているということもないんだよ。

■11月には「原発なしでのりきる計画」がすでにでていた

 じつは、もう11月には北海道電力さんから「泊原発を動かさないままで、2010年なみのきびしいさむさだったとしても、いちばん需要の多くなる2月も予備率5・8%という余裕をたもってのりきる」という計画が発表されているの。

 これは考えてみればとうぜんの話で、たりない、たりない、というよりもまず、電力会社さんは「安定して電力を供給する」ことがいちばんの使命だよね。だから、泊くんを動かせるかどうかわからない状況のなかでは、原発なしでちゃんと供給できるように、どの発電所をどんな優先順位で動かしていくのか計画をたてるのがおしごとなわけ。

 もちろん、出力のおおきな発電所が使えないわけだから、そのぶんをやりくりする工夫というのは計画をたてる人も、プラントでじっさいに動かす人も、とてもご苦労もあるんじゃないかと思うの。ありがとう、って思いますだよ。

■のりきれる予測なのに「停電」や「人命にかかわる」というのは?

 そんなふうに、北海道電力さんみずからが「原発なしでもきちんと供給します」と発表したあとでも、原発がないとまるで「停電する」「人命にかかわる」かのようなニュアンスの報道も、残念ながらあるの。そんなふうに真実とはちがうことを伝えて人をこわがらせようとしたり、こわがらせたりすることで「原発は必要だ」と思わせようとするのはちょっとずるいんじゃないかなぁ。

 この調子でずっと、冬がおわれば「原発がないと夏には熱中症が出る」、夏をすぎれば「原発がないと冬には凍死者が出る」というのをくりかえすとしたら、それはただの雰囲気にもとづいたおはなしだと思うの。電力会社さんがちゃんと供給計画をたてているのに、その努力を伝えていないことになるし。

 きちんとそのときそのときの需要予測と供給力にもとづいて、ほんとうにたりないのかどうかが議論されるようになるとよいよね。

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いつかは会ってみたい、北海道のアザラシさん。北海道は素敵なものがありすぎてなににしてよいのか迷いましただよ。

■北海道のなかでも、再稼働への反対は大きい

 よく、原発の再稼働について「地元としては動かしたい」というふうにいわれるよね。もちろん、立地自治体には関連企業ではたらく人も多いし、大きな交付金が入ってくるのできゅうになくなるとこまる、という事情はあるの。

 それでもたとえば、札幌市長さんは「福島原発の事故原因もまだはっきりとわからなくて、対策もたてられない。いまのままでは反対だ」、北海道のJAの会長さんも「再稼働前提ではなく、将来的な脱原発にむけて、再生可能エネルギーの導入を」といっているの。原発を絶対に動かそう、じゃなくて、なしでもやっていけるしくみに変えていくほうがより安全だし現実的だ、と考えるんだね。

■1月17日で阪神大震災から18年

 おわりになるけれど、17日は1995年に起きた阪神大震災からちょうど18年だったね。

 いまも癒えない傷をかかえたかたがおおぜいいらっしゃると思います。そして、阪神大震災と東日本大震災で、被災地のかたの交流が生まれているというニュースもいくつも見聞きして、人間というのはやさしくて強いのだなぁと思いました。一年、いちねんとすこしずつでも回復がつづいていきますように、と願っております。

2013年1月18日11時42分 朝日新聞